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慢性膵炎とは
慢性膵炎とは、膵臓の慢性的な炎症です。昔から、膵炎の原因は暴飲暴食、特に油ものとアルコールが原因であると言われますが、実は、原因の40%に過ぎません。60%は原因不明なのです。原因不明といっても偶然に慢性膵炎が発症するはずもなく、原因はあるはずです。
慢性膵炎の原因とは
私は若いころ、埼玉医科大学消化器内科に3年ほど在籍しました。埼玉医科大学は、親戚の丸木清美が埼玉県毛呂山町に創設しました。実家の病院は、隣町の日高町にありました。外来患者に原因不明の腹痛を訴える患者が少なからずいました。
ある時、教授が日本医大消化器内科から医者を呼んで膵臓の生検をおこないました。採取した材料を電子顕微鏡で観察すると、サイトメガロウイルスの封入体を認めました。Endoscopyという国際ジャーナルに投稿して掲載されました。
以来、感染性膵炎が残りの60%の大部分を閉めるのではないかと考えるようになりました。事実、若い女性で暴飲暴食しないのに、検査すると慢性膵炎と診断されることが多いのです。何故、膵臓が感染しやすいか考えると、解剖学的にその可能性があるのです。
十二指腸の内容物が、膵管内に逆流する
膵臓は、インスリンを分泌することを内分泌と呼びますが、同時に膵液と言う消化酵素を分泌数外分泌もおこないます。膵液は、十二指腸乳頭から十二指腸に分泌されますが、その時十二指腸の内容物が、膵管内に逆流するのです。十二指腸内容物は雑菌が交っていますから、感染する可能性があるのです。普段は、免疫力が高いので、菌やウイルスを殺していますが、免疫力が低下すると感染するのです。
次回は、慢性膵炎の診断基準について説明します。